不器用リカコの書きたい人生

20代リカコが書きたいことを書きたいままに書くだけのブログです。

意識と感覚のない世界

もう10ヶ月近く前のこと。

Googleアプリは開くと相変わらず頼んでもいないのに「あはたにおすすめのニュースはこちらですよ。」とお節介なことをしてくる。

ふと開いた時に同じ芸能人のニュースばかりが並んでいたり、精神科やカウンセラーの類のニュースばかりが並んでいて、それを隣の人に見られてないか、わたしの思考の一端を勝手に晒されてるような感覚になって大抵気分が悪い。

 

ただその日、Googleは彼の本についての記事をわたしにおすすめしてきた。

 

「意識と感覚のない世界」書評 麻酔科医の上手下手とは|好書好日

 

この時のわたしはまだ麻酔に関わることになることは予知していなかった。

ただこの記事を読んだときに、「麻酔科医は女性が多い」というはなしをふと思い出し、いつか読みたい本リストに追加した。

 

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なんとなく三浦しをんさんの「愛なき世界」を読み終わった時と同じ感覚でした。

今回のお話は実在する麻酔科医の実際の経験のお話で、一方は空想の植物遺伝子の研究者のフィクションで本質的には全然違うのですが、自分の持ってる知識で、本の中に書かれている専門用語とそれを誰にでもわかるように説明するための記述を読んだ時に、頭の中でリアルが想像できる感覚が似ていたんだと思います。

もちろん、研究室の話と違って麻酔科医の話は健康体で一般人のわたしにとっては現場レベルでの映像の蓄積はありませんでしたが、機器の名称、病名や患部の名称などを読みながら情景を思い浮かべることができました。上述した記事を見つけていた当時に読んでいても想像できず飽きて途中で離脱していたのではないかと思います。

読むべきタイミングで読んだなあって感じ。

 

ところで本の中の彼はたくさんの患者さんに麻酔をかけてきたようだけど、なんか男児のペニスに関する症例多くないか?

いや、それが彼のリアルなら別にいいけど。

そんな疑念がふと過った次の頁。

 

ケーシーの患者の多くは、ペニスに問題のある子供たちだった。

 

なるほど。ケーシーは著者の麻酔科医ではなく外科医だけど、患者が多いなら記憶に残る症例も確率的に多くなりますね。素早い答え合わせ。それにしても大人でも怖い手術を子供が、しかも思春期真っ盛りに自分の性器の手術をするっていう事実も怖いのに、その上オペ中は意識を失う麻酔をするっていうんだから不安でいっぱいになりますよね…麻酔科医の彼はそんな不安な患者を手術室で待つのではなく、安全に意識と感覚のない世界に患者を導くために気を逸らすところから彼の手技は始まってるんですね、そんなこと考えたこともありませんでした。

 

元々麻酔科医になんとなく興味があって、この本を読んでもっと興味が湧いて

縁があって麻酔にも少しだけ関わることになるからもっと知りたい知ろうと思うとっかかりとしてわたしには最適な書籍でした。

 

そして、専門性を高めることへの魅力と専門家になるというのはその専門からわかりやすい周辺知識だけでなく、ありとあらゆる知識と経験を積む事が結果的に専門性を高めることには必要なんだと知ってるようで知らなかった絶望的なことを目の当たりにして、専門家になりたいならそれだけを見てるじゃダメなんだな、もっと精度の高い専門家になるためには貪欲に全てのことに興味を持つが正解なんだろうなあと。

 

決して驕らず、でも絶対的な自信で、そしてその自信を確実にこなすためにそれ以上の慎重さで、多くの患者に麻酔をかけ、手術が終われば安全に元の世界に覚醒させる彼の仕事の一端を垣間見て、やっぱりそんな武器が欲しいと切に思いました。