傘は無く
白いコートのフードと
5年くらい前の誕生日にもらったスヌードに
顔を埋めて
大事な商売道具を抱き抱えて帰路に着く
思ったより寒くない外気温と
まだ足跡のない白い地面に
パンプスを埋めて
転がらぬようそっと進む
しんしんと
とはよく言ったもので
まるで世界が止まってしまったかのような静けさがとても
いや、かなり
心地よい
眼の端に凍った己の髪を捉えるも
この時間が永遠に続けば良いのに
なんて少しばかり
自分に酔いしれたファンタジックなことを思った
子供の頃のように無邪気にテンションは上がらないが
だからと言って辟易とするでも無く
静かだ…
と埋めた口元はにやりとしていた
この文章に特に何の意味もない