偽善者は変換で出るのに善者は変換で出ない。
インターネット上では善者はいないというジャッジなのかもしれない。
何もしたくなかった。
何も考えたくなかった。
何もない自分に向き合いたくなかった。
他部署の部長が暇すぎて、向かいの可愛い先輩とノリの良い若手とおしゃべりしにわたしの隣の席でYahoo!ニュースを永遠と見てそれを朗読、自身の感想を述べるという時間があった。
心の中でやってくれてるならまだよかった。
声デカいねん。
まだ尖っていて自分も社会に馴染める余地があるとキラキラ希望に満ちてた頃、
良くしてくれていた先輩にその部長の不満をぶちまけた。うるさくて集中できない。。
お給料私たちの何倍ももらってるのにYahoo!トピックスを見る仕事なんですね、と。笑
次の日、その先輩は耳栓をくれた。
なんか下の下の下っ端の生意気な愚痴をちゃんと聞いてくれたことだけが嬉しくて耳栓は筆箱にしまっていた。
脳内の声がうるさい、
この前のあれから、周りの声が今まで以上に気になって気になって気になってうわあああってなりやすくなった。
筆箱を開ける。
試しに片耳だけ耳栓をしてみた。
水の中みたいにゴオオオオという音と、心音が波打つ。
耳鳴りの時みたいに響いてくる心音ではなかった。脈打ってるなあと感じる程度。
日中は少ないけど電話もないわけではないし
誰かに話しかけられることもある。
だから連続してつけっぱなしは難しいけど
心穏やかな継続時間が少し伸びた。
不思議と脳内の声も小さくなった。
耳栓をすることで心が落ち着くと彼女も暴走しないからだろう。
イライラと集中を繰り返して
無気力分の仕事を6割くらい取り返せた
あとの4割はガッツリ残ってるけど
もう疲れた、何もしてないけど
脳の半分以上うるさいんだよ、
最近二駅分歩くのが帰りのたのしみだ
今日は頭の中に音楽が思い浮かんだ、良い日だ
ノリノリで帰れる
日によっては反省後悔やるせなさ叱責暴言嫌味…そういう音でいっぱいになって何も流れてこない時がある
今日は高校2の時の自由曲が流れた
曲を探す
イヤホンをつける
客引きに声をかけられてるっぽいけど帰りたいから無視しよう
「すみません!聞いてください!」
現実に引き戻され、イヤホンを外す。
背の小さいわたしよりも背の小さい女の、子?
「ワタシフィリピン人で、コレ読ンデ」
[留学生です。コロナで仕事がありません。生活の足しにするために・・・]
ああ。大変なんだね。
で、私に何のようだい。
ごめんけど、わたし、人の生活を援助できるほどの金はないよ…
もう疲れたのよ、帰りたいのよ、ああ
「チョコレート買ってくれませんか?」
買ったら解放してくれるならもう買うよ。
疲れた、もう何も考えたくない
だってたくさん人がいる中死んだ目をしてるのに私に話しかけたんでしょ、
この人の言ってることが本当でも嘘でも
「コイツなら買いそうだな」っていう、ああ
話しかけやすい顔してんのに実際話し続けられる人間関係が持てないなんてさ、最悪な性格だよ、はは、好きな音楽聴いて20分歩きたかっただけなのに、わたしの平地はすぐに荒波に飲まれてしまうのにさ、
「ああ、わかりました。いくらですか?一個でいい?」
「ワア〜アリガトー!500円!」
小銭は会社で使うから全部あっちだ、、
「ないから1000円分ちょうだい。」
「ワア〜アリガトー!!!アナタにイイコトアリマスヨ!」
手を軽くあげてその場を去った。
周りの人間に、あの人馬鹿だなあと思われてるのも嫌だったし、はやく1人になりたいし
1000円でイイコトあるなら、、、もうやめよう
わたしはこの1000円で罪悪感を消したんだ。
素晴らしい1000円だ、
話したい時に話せないのに、舐められやすい話しかけられやすいこの雰囲気を持ってしまった私が1000円のお布施で罪悪感から守られたんだ
あの人が本当に困っていたなら
ありがたいことに仕事させてもらえてる私は彼女にもっとお金を渡すべきだった
だけど、今時コンビニなんてほぼ外国人の方がレジしてる時代に、あの可愛らしい外見でバイトできないのだろうか、500円、1000円が足しになるのだろうか。
やめよう、疲れたんだわたしは
何も考えたくないんだ
なんとなく家族ラインに
「フィリピン人の女の子にチョコレート買ってくれって言われて買った」と打った
母から即レス
「薬とか入ってたらどーすんのよ、断んなさいよ」
あー、そういう考えもあったのか
Twitterで検索してみたら同じ駅で同じようなことを体験した人が500円はあげるけど、お菓子はポイすると書いていた
確かに出どころのわからない食べ物は危険だ
彼女が本当に貧困で困っているのだとしたら申し訳ないし、食べ物を粗末にするのは気が引けるけど
そのリスクを取るほどにいろんな意味で死にたいわけではなかった
時間が経って父から
「まあ、俺は買っちゃう派だけどね笑
ほら〇〇旅行行った時、無名のアーティストのCD買っちゃったのと一緒だよ笑」
一緒じゃないし、普段父とは議論したくないけどこのLINEばかりは、この性格の出元である父のコメントに少しほおが緩んだ
難ありな娘だけど、正反対な両親を持ってよかったのかもな、
そんなことが昨日あった
何も考えたくなくて酒を買って帰って今のいままで寝ていたのだけれど
シャワーを浴びながらふと
私も彼らと同じだった。。
気がついてしまった
私は自分が罪悪感に駆られたくないから、自分が傷つきたくないから思考を停止してしかも求められた2倍の額を払った
彼らのことを自分が傷つきたくないから適当な優しさでズルズル断らないと心の中で責め続けていたけれど、、、
なんだ、わたしも同じじゃん、最悪
どこかで自分こそは人の気持ちをわかる崇高な人間だとでも思っていたのだろうか
思い上がりも甚だしい
歯車が合わない日々がもう少し続きそうだ
正直しんどい